2022年9月8日木曜日

 フラマリーメジャー 2022 Massimo Bolognino - Saverio Bari 戦の切り抜きの2回目

②マッシモ選手のフリーキックからの得点シーン解説

1回目のバリ選手の攻撃がFKで終わった後の、マッシモ選手のFKから得点を取るシーンの切り抜きです。

まずは、ビデオを通してご覧ください。

①フリーキック前のマッシモ選手のポジションフリックは右のスペースへ
キックオフの時に、バリ選手は5トップ5バックだったため、守備ブロックを引く間のないFKはかなり危険です。
5バックなので、両側のハーフスペース、サイドスペースに広大なスペースがあります。マッシモ選手は、ノーフリックではなく、右サイドスペースへポジションフリックを行います。

②バリ選手のブロックフリック
マッシモ選手のポジションフリックであがった選手をマークします。

③マッシモ選手のフリーキック
フリーキッカーをウェイビングで右サイドへ上げ、ボールは多くの選手がビルドアップ体制に入りやすい中央へ運びます。
右のスペースへマッシモ選手の2選手が上がったことになります。

④バリ選手は、右サイドへ守備を寄せます

⑤マッシモ選手の狙いは左のスペースだった!
マッシモ選手は、右へ攻撃の手ごまを集めたいましたが、ビルドアップの方向は、実は左のスペースでした。バリ選手は、想定していたと思いますが、珍しくブロックフリックを失敗し、左をカバーする1手を自ら失います。

⑥左へ向けて組み立てるマッシモ選手に対して、ブロックを作る工数が足りないバリ選手は、ボールへのプレスに集中することに切り替えます。
ボール一つ分空いてはいますが、シュートエリアへの侵入を防ぐには十分効果的なプレスをかけます。

⑦マッシモ選手のロングスルーパス
マッシモ選手は、ボールへ一度アプローチするのではなく、一気に45度のパスをトライしてきます。写真でお分かりの通り、守備とボールの位置からは、どう考えても無謀なトライのように見えます。
⑧なんとパス成功
狙ったスペースへ、ボールを運び、パスをした選手もウェイビングでシューターとなる位置にもっていき、そしてボールもシュートラインを越え、シュータブルとなります。
この後動画は、シュートを決めるまでの最後のつめとなっていきます。シュートも素晴らしいのですが、この長い距離からの45度パスの精度がすごいと思います。ここで勝負あったと思いました。

おはじきサッカーはサッカーのチェスとも呼ばれますが、日本の将棋の攻め手をどのように表現するかというのを調べてみました。
良い手に関するもの
1)好手
状況を良くする、良い指し手のことです。手の広い局面でとりわけ良いと思われる手のことを、好手と評価されます。駒の取り合いなどの一直線の進行では好手とは言いません。
2)妙手
好手の中でも、とりわけ巧妙な手や、ぱっと見では気づきにくい手のことを妙手(みょうしゅ)と言います。
3)最善手
ある局面でいくつか良い手に見える候補がある中で、最も良い手と判断されたものを最善手と言います。2番目に良い手のことを最善手に対して次善手と言います。
良くない手に関するもの
4)悪手
好手の反対で、状況を悪くしてしまう指し手のことです。ある一手をきっかけに、局面が悪くなった、良かったはずの局面が互角に戻った、逆転してしまった、という場合にはその一手は悪手と評価されます。
5)ポカ
悪手の中でも、一気に悪くしてしまう手のことです。簡単な手を見落としてしまうことによって、駒を取られてしまうなど、うっかりしてしまったというニュアンスが含まれています。
6)頓死
指し手そのものの評価ではないですが、不注意・見落としにより、いきなり玉を詰まされてしまうことを頓死(とんし)と言います。本来すぐには詰まないはずが、逃げ方を間違えるなどで、即詰みになってしまうことです。プロ棋士は、数十手の詰みはすぐに読み切る方々ばかりですが、それでも思考の盲点に入ってしまうなどして頓死をしてしまうことがあります。
7)疑問手
いくつか候補の手が見えていた中で、それとは違う、思わしくない手を指したときに疑問手と評価されます。局面が進んで少し形勢を損ねたときなどに、「あの手はどうだったのか疑問」のようにも言われます。検討された後には、「あの手は悪手だった」と評価されることもあります。
どちらとも判断がつかないもの
8)勝負手
手に秘めた狙いの成否に関わらず、局面を大きく変える手のことです。主には形勢を損ねている側の手段で、そのまま進んでしまうとどんどん悪くなってしまうため、勝負手を放つことで局面を動かしにいくのです。勝負手を放った瞬間には良いか悪いかの判断はつかず、後の展開によって判断されることが多いです


フリーキックを始めるときに、マッシモ選手は、バリ選手の対応次第で柔軟な攻撃をイメージしていたと思いますが、右のおとりからの左の攻めを行えるような誘いがあったように思います。
そして、バリ選手の好手といえるプレスをかいくぐった、長い距離からのパスの一手がゴールへつながりました。普通に考えるとあのトライは、結果は最善手となりましたが、私のレベルでは疑問手と言わざるを得ない選択と思いました。

局面を読む力は試合を重ねることでレベルが上がると思いますが、日本の選手は残念ながらワールドクラスの選手との経験がありません。日本人同士だと、ミスと偶然の積み重ねで勝敗が決まるところがあり、戦術やその土台となる基本的な力量を向上させるところまでいきません。

我々の目指すワールドカップに登場する選手は、ポカや悪手を犯す選手はいませんので、せめて、このような動画分析を通じて、練習課題を見つけることは大事と思っています。ロング45度のパスを練習し、スキルアップにつなげたいものです。




https://youtube.com/clip/Ugkx7ujsAU9pHeVgMMK5xmDGtP2izQVTrObX

0 件のコメント:

コメントを投稿